おいしい函館ロゴ
この街で出会う飲食店、料理人、小売店、食材案内

函館「食」ニュース

味わう道具も味のひとつ。 夏井珈琲の食器棚を覗き見

味わう道具も味のひとつ。 夏井珈琲の食器棚を覗き見

自家焙煎の珈琲に定評がある五稜郭町の「夏井珈琲 Brucke(ブリュッケ)」。川沿いに建つ洋館というシチュエーションも含め、ゆっくりとカフェタイムを過ごしたい喫茶好きに支持されている店です。 夏井珈琲では、珈琲やそれに合わせるおやつ、食事の味もさることながら、それを提供する際の器も、店の個性としてファンから愛されています。たとえば珈琲カップなら、ウェッジウッド、マイセン、ロイヤルコペンハーゲン、ナルミなど、ヨーロッパのアンティーク調という店のトーンに合わせて、創業時からオーナーが吟味し、集めたものを使用。なかでも、最も数が多いのはマイセンで、4種6客が揃っています。カップの美しさによってさらに珈琲の味が引き立ち、同店で過ごす時間がより心地よいものに。また、壁に陳列されている様子も、非常に美しく絵になります。 オーナーの夏井さんによると「それぞれのカップは口の開き方や広さによって、珈琲の香りの立ち方もさまざまに変化する」とのこと。ぜひ、訪れた際はその違いも楽しんで珈琲の美味しさを味わってください。 夏井珈琲 Bruke(ブリュッケ) 函館市五稜郭町22-5 TEL 0138-52-3782   函館スイーツ推進協議会のPR誌「KA・NO・KA」第3号の特集は、「珈琲×菓子」。函館の街の、珈琲とお菓子にまつわる様々な物語を紹介しています。1万部発行、函館空港、JR函館駅構内函館市観光案内所ほかで、無料配布中。ウェブ上でも読むことができます。

期待の食材、サメ料理のレシピ公開(料理実演講習会レポート)

期待の食材、サメ料理のレシピ公開(料理実演講習会レポート)

2018年12月11日、「おいしい函館 料理実演」が実施され、料理人や飲食店関係者ら31名が参加。函館沿岸や津軽海峡などで獲れるサメをどのように料理に使うことができるか、研究者からサメの特徴や分類などに関する話を聞くとともに、和・洋・中3人の料理人によるサメ料理の実演を見学しました。   サメを食べるのは、津軽海峡対岸の青森県津軽地方などでは一般的だそうですが、函館市周辺では、一部で業務用の練り物材料として使われる以外では、一般にあまり馴染みがありません。函館短期大学付設調理製菓専門学校では、サメの生態に詳しい北海道大学名誉教授(水産学博士)の仲谷一宏さんとともに、5年前からサメ料理の研究に取り組み、函館市の東部・南茅部地区で定置網にかかり、網に入ったイカなどを捕食してしまうサメを、漁業資源として活用できないかを探ってきました。   ■ 負の先入観が強い魚ながら、期待高まる食材 サメは、映画などの影響もあって、どう猛で怖い魚というイメージがあり、さらに食に詳しい人たちの間でも、鮮度低下の際にアンモニア臭がある魚という先入観が強く、食べる習慣のない地域では邪魔者扱いされがちです。しかし、青森県でサメを専門に扱う(有)田向商店の田向常城さんによれば、サメは食材として期待が高まっているとのこと。まず、全身の骨格が軟骨でできていて小骨もなく、加熱することで骨まで柔らかくなることから、とても食べやすい食材。さらに、サメの身は寄生虫やヒスタミンなどによる体への悪影響がないこと、塩味を感じやすい特徴もあることから減塩食にも適しており、学校給食や高齢者向けの食などの分野でも期待が高いものです。また、冷めても硬くならないので、弁当にも向いています。 サメ博士こと、仲谷一宏さん(北大水産学部名誉教授)が、サメの生態や分類、利用法などについて解説。 ■ 食味試験でヒラメを上回る成績 サメ博士の仲谷さんによると、世界に510種程度いるサメの仲間のうち、日本にいるのは124種。食用のほか、皮をつかったベルトやバッグ、骨から抽出されるコンドロイチンは医薬品、油脂は健康食品や化粧品にも使われます。函館周辺で獲れるサメの食味試験で、調理製菓専門学校の学生と一般の人、計38名に食材名を伏せてサメの揚げ物を試食してもらい、味、食感、匂いについて、基準となる白身魚(ヒラメ)との比較で審査。使ったサメは、アブラツノザメ(アブラザメ)、ホシザメ(カノコザメ)、ネズミザメ(モウカザメ)、ヨシキリザメ(アオザメ)【いずれも( )内は函館での呼称】の4種。その結果、味、食感、匂いとも基準を上回る評価がほとんど。総合評価では、どのサメも、高級魚とされるヒラメより高い評価でした。 食味試験では、4種のサメとも、味、食感、においの全項目においてプラス。基準となるヒラメよりもおいしい(良い)という評価となりました。   続いて、3人の料理人によるサメ料理の講習と試食が行われました。   ■ <和食>〆鮫ゆず味噌田楽焼 講師:菊池隆大さん(炭火割烹 菊川) レシピ(別紙pdf参照)   「黄柚子のスライスを加えてマリネすることにより、特有の匂いはすっかり抜くことができる」「軟骨はつけたままにし、食感を楽しめるように」と、菊池さんからのアドバイス。さらに「高級食材の代替えになるようなサメの調理にぜひ挑んでみたい」との意気込みも。   ■ <洋食>アブラツノザメのクネル チーズ風味 講師:吉田徹さん(函館短期大学付設調理製菓専門学校) レシピ(別紙pdf参照)   吉田さんからは、「すり身は作りたてよりも一日おくことで、香りなどが馴染んでおいしくできる」とアドバイス。また、「すり身や付け合わせの男爵いもは、海水を使ってゆでてみたら、塩具合がぴったり」と、ユニークな調理法も披露。 注)潮流のある場所の海水を汲んできたものを煮沸させ、キッチンペーパーで漉したものを使用   ■<中華>乾焼麺絲炸鮫魚 サメのカダイフ揚げのチリソース 講師:木村史能さん(函館国際ホテル) レシピ(別紙pdf参照)   木村さんは、「先入観が強い食材を調理する際には、あえてそのことを前面に出さずに、別の食感で味わってもらうことも大切」と考え、カダイフ(トルコの菓子やフレンチのフリットなどに使われる小麦粉を用いた極細な麺状の食材)を使った料理を考案。   なお、食材のサメは、函館市内の一部スーパーでも取り扱われており、比較的安価なもの。また、青森市にはサメを専門とする販売業者もあり、冷凍真空パックで年間を通して取り寄せができます。函館市内のフレンチシェフ佐藤誠一さんは、「アンモニア臭があると聞いていたが、まったく気にならなかった。自分の中では、サメは格好いい魚というイメージもあり、特徴が分かったのでコース料理の中などでぜひ使ってみたい」との感想を語ってくれました。   多くの料理人の皆さんに、サメの料理に親しんでもらえた講習会でした。

ブリ料理コンテスト、最優秀賞は「ブリユッケ」

ブリ料理コンテスト、最優秀賞は「ブリユッケ」

2018年11月、第1回「はこだて・ブリ料理コンテスト」(主催:はこだて・ブリ消費拡大推進協議会)の最終審査会が行われ、応募総数60件の中から最優秀賞「ブリのユッケ」と優秀賞2件が選ばれました。 近年、北海道の周辺には多くのブリが来遊するようになり、函館市は全国有数の水揚げ量・金額を誇るブリの一大産地となりました。ところが、北海道ではブリの料理はまだまだ馴染みが薄く、消費量は全国平均を大きく下回っています。今回のコンテストは、地域の人がブリにもっと親しみ、調理の機会を増やすきっかけになるように初開催されたものです。 下記からレシピをご覧いただけますので、ご家庭やお店で、ぜひ新しいブリ料理をお試しください。 ■入賞作品■ 【最優秀賞】 温泉卵と味付け海苔を加えた韓国風「ブリユッケ」 作者 大浦様(山口県下関市)→レシピはこちら 【優秀賞】 揚げせんべいとごまの変わりごろもで「ぶりの香ばし焼き」 作者 芳賀様(東京都八王子市)→レシピはこちら 【優秀賞】 小さめの切り身で野菜を巻いて焼く「ブリ巻き」 作者 新関様(北海道北斗市)→レシピはこちら

プロに学ぶ! 小学生向け料理教室(函館市・食の担い手育成事業)

プロに学ぶ! 小学生向け料理教室(函館市・食の担い手育成事業)

函館市は2018年12月~2019年3月、コープさっぽろとの共催で、小学生向け料理教室(全4回)を開催しています。これは「食の担い手育成事業」の一環で、「食」に関する仕事が子どもたちにとって将来の選択肢のひとつとなるよう、地元の優れた食材や食文化、料理人の技に触れる機会を提供するものです。   12月6日(木)に開催された第1回は、「今年のクリスマスケーキは自分で作るぞ!教室」。洋菓子店「チッチョパスティッチョ」オーナーシェフ・大桐幸介さん指導のもと、イタリアのケーキ「ズッパイングレーゼ」作りに挑戦しました。無農薬自然農法でブルーベリーやカシスを栽培するハウレット農園のハヌル・ハウレットさんも参加し、ケーキソースに使用するカシスについて説明しました。   将来はパティシエになりたいという深堀小学校6年の鈴木知花さんは、「家でも菓子作りをするが、生クリームのホイップなどシェフからコツを教わることができてよかった。スポンジケーキも思ったよりもうまく焼けた」と満足の様子。   2019年1月23日(水)開催の第2回は、バレンタインに向けてのチョコレート作り。講師は、第1回と同じ大桐幸介さんと、ハヌル・ハウレットさんです。応募に関する詳細は、1月初めに発行される函館市広報誌「市政はこだて」と、コープさっぽろ広報誌「Cho-co- tto(ちょこっと)」に掲載されます。 ハウレットさんからは、ヨーロッパではカシスが「ジャムの王様」と呼ばれていることや、とても眼にいい食材であることなど、いろいろな豆知識を教わりました。 大桐シェフからは、「卵をしっかり泡立て、他の材料と十分混ぜ合わせて生地を作ることが、うまく焼き上げるポイント」と教わりました。 スポンジケーキが焼き上がるまで、子どもたちはもうドキドキわくわく。 いよいよ生クリームやカシスなどでデコレーション。ケーキ作りの途中では、やっぱり味見が楽しいひととき。 生クリーム盛り盛りのケーキ、可愛らしいケーキなど、参加者それぞれが個性豊かなクリスマスケーキを作り上げて、持ち帰りました。

「イカナポリタン」作りに挑戦。親子向け料理教室開催

「イカナポリタン」作りに挑戦。親子向け料理教室開催

2018年11月23日、函館市内の小学生親子を対象とした料理教室が開催され、23名が参加。函館市の魚「イカ」をつかったパスタの作り方などを学びました。主催した函館農水産物ブランド推進協議会(事務局:函館市)は、地元産の農水産物の良さをより深く知ってもらおうと、定期的に料理教室を企画。今回は、「Restaurant nana-papa(レストラン ナナパパ)」の池田洋二シェフを講師に迎えて、同店のオリジナルメニューで函館の新ご当地グルメ「イカナポリタン」の調理法を紹介し、家庭でもおいしく手軽に作れるパスタ作りのコツなどを指導しました。   母親、姉とともに参加した函館市立昭和小学校1年の白岩謙弥さんは、「自分で料理するのは初めて。難しいところはお母さんが手伝ってくれたので、うまくできました。自分で作った料理はいつもよりおいしく感じる」と、イカナポリタンを頬張りながら、満足の笑顔を見せてくれました。 まずは、池田シェフが模範の調理を披露。説明の随所に、いろいろな料理に応用できる調理のコツが盛り込まれていました。 昔ながらのパスタ料理「ナポリタン」を作る際のコツは、茹でた麺にサラダ油と塩を絡めてからしっかり水で冷やし、一度冷蔵庫で寝かせること。こうするとケチャップソースの旨みが麺によくしみ込むそうです。また、イカには火が入りすぎないようにも注意。 親子で作業を手分けして、一生懸命ナポリタン作り。 料理の後は、皆でおいしく味わいました。 もう一品、スペイン料理のデザート「カタラーナ」をオーブンを使わずにできる作り方も紹介。わずかな手間で、本格的なデザートが家庭でも作れるとあって、興味津々の様子。 クリームチーズを使った、濃厚な味わいのカタラーナ。冷やすとアイスクリームのような舌触りです。 講師の池田シェフは、「イカとナポリタンで函館を盛り上げよう!」と、市内の料理人とともに「函館イカナポリタンの会」を結成。「Restaurant nana-papa(レストラン ナナパパ)」を含む9つの参加店ではそれぞれ、オリジナルのイカナポリタンを提供しています。

高校生が考案した商品も人気。はこだておいしいフェスタ開催

高校生が考案した商品も人気。はこだておいしいフェスタ開催

2018年10月6日(土)、JR函館駅近くのはこだてグリーンプラザなどを会場に「はこだておいしいフェスタ」(主催:函館市)が開催されました。あいにく小雨が降る中での開催でしたが、函館や近隣の町から約30の飲食店などが参加。建ち並ぶテント屋台に市民や観光客が次々に訪れ、各店の名物料理に舌鼓を打っていました。会場内には、北海道胆振東部地震で被災した地域を応援しようと「胆振・日高(nittan)地域応援コーナー」も設けられ、物産販売や観光パンフレットの配布などに多くの人が足をとめていました。   このイベントで、盛りあげに一役買ったのは、市内2つの高校の生徒たち。それぞれが考案したオリジナル商品の販売を行いました。函館商業高校は、函館の老舗料理店の五島軒とのコラボで開発した「バターチキンカレー」のレトルトパックを販売。生徒たちは法被(はっぴ)をまとい、訪れるお客さんとの会話も楽しみながら接客していました。また、清尚学院高校は、市内のパン店の協力を得ながら「はこだて焼きピロシキ」の具材を考案。この日は、料理部に所属する生徒2名が、8種のオリジナル焼きピロシキを販売しました。   ほぼ一日を通しての雨模様でしたが、食のイベントは根強い人気があります。昼近くにはテント内の客席が満席に。   近隣の北斗市や木古内町などからも出店。威勢のいい掛け声、ジュージューという肉の焼ける音や匂いが会場を盛り上げます。   函館商業高校が販売した「バターチキンカレー」は「商業高校フードグランプリ2017」で、大賞に次ぐ「服部幸應審査員特別賞」に輝いた商品。また、翌年に開発した「ごろっと!ほっこり!スープカレー」は2018年12月から、LCCのバニラ・エアの国内・国際便全便で提供される予定です。   清尚学院高校は、「はこだて焼きピロシキ」を製造販売する6つのパン店で構成する「ソユーズはこだて焼きピロシキ」とコラボ。料理部の生徒が2ヶ月間かけて、イカやホタテ、ジャガイモなど道南の食材を用いた9種のレシピを考案しました。これを共同で商品化し、9月には約10日間にわたり市内のデパートで販売を行いました。

函館の料理人が考案した「昆布料理コレクション」

函館の料理人が考案した「昆布料理コレクション」

函館は、国内昆布生産量の15%を占める日本一の昆布産地です。上品かつ甘みのある味わいが特徴の「函館真昆布」や、水に浸すと驚くほどの強い粘りが出る「がごめ昆布」が人気ですが、その多くは本州に出荷され、実は函館市内での昆布消費量は多くありません。「もっと、函館産昆布を使った料理を」と、函館の料理人たちが考案したオリジナルの昆布料理をご紹介します。   ■ 2種類のコンブを用いた海鮮サラダ 函館市が2018年7月に開催した「おいしい函館バスツアー」に参加した、ロワゾー・パー・マツナガのシェフ松永和之さんは、2種類のコンブを用いた海鮮サラダを考案。色鮮やかな旬の野菜に、細く刻んだ若葉の剥き昆布が色合いも美しく仲間入りしました。野菜の下にはイカやホタテが豪快に盛られ、味つけには、がごめ昆布とエシャロットを加えたビネガーソースを添えて。魚介類の旨みが引き出され、とろみのある新たな食感も楽しむことができます。   ■ 黒みつがごめ 料理研究家の木下あやこさんも「おいしい函館バスツアー」で得た昆布に関する知識を生かして、黒みつとがごめ昆布を合わせた「黒みつがごめ」を考案しました。ところてんなどにかける黒みつは、盛った際にどうしても下に溜まってしまうもの。黒蜜とがごめ昆布を合わせることでとろみがつき、ところてんの上にしっかりのった状態で、きれいな盛り付けができるようになりました。   ■ はこだて がごめ飯 居酒屋などを展開するGUT’Z経営の岸部悟司さんは、2013年から「がごめ家」で「はこだて がごめ飯」を提供中。がごめ昆布の混ぜご飯に、がごめ昆布で締めたイカ刺し、たらこ、カニのむき身などが盛られた丼めし。途中でかつおだしの吸いものをかけて「ひつまぶし」のようにして食べることもでき、いろいろな味わいや食感を楽しめるメニューです。   ■ がごめ昆布のゼリー 函館短期大学付設調理製菓専門学校で教鞭を執る吉田徹さんは、がごめ昆布料理研究の第一人者。がごめ昆布の粘り成分を抽出し、ところてん状に固めたものを考案し、「函館がごめの雫」として商品化されました。近年、ところてんよりも柔らかいものを作ろうと配合を工夫し、がごめ昆布のゼリーを試作。透明感の高いゼリーができました。自家栽培のハーブ「マローブルー」を用いた特製シロップに浮かべて、スイーツ仕立てに。無色透明のシロップにレモンを搾ると、鮮やかなピンク色にゆっくりと変化し、目も楽しませてくれます。

函館割烹調理師会が創設110周年で「食材慰霊碑」建立

函館割烹調理師会が創設110周年で「食材慰霊碑」建立

函館・道南の和食料理人らで組織する「函館割烹調理師会」が、創立110周年を迎え、これを記念して「食材慰霊碑」を建立しました。市電「宝来町」電停近くのグリーンベルト(緑樹帯)の中に建てられた慰霊碑には、「食材の恵みに感謝」と記され、日本料理を生業とする料理人として、「食材の恵に感謝する心を持ち その命への慰霊の気持ちを忘れることなく、日々精進している」との理念が添えられています。   函館割烹調理師会は1908(明治41)年に創設されました。北海道内では最も早く作られた調理師による団体です。明治期の函館は、海運や貿易などで繁栄し、北海道随一の都市でした。創立の前年には市内で約9,000戸を焼失する大火があり、その復興の時期と重なります。所属する料理人たちは、こうした街の繁栄を影で支えてきた存在ともいえるでしょう。 2018年9月9日の除幕式には、会員や関係者のほか、道内他都市の調理師会会員も多数参加。あいにくの雨模様のなか約60名が集い、除幕を行いました。 この碑を建立した函館割烹調理師会の八代目会長、坂本勝彦さんは、近年、地域のブランド食材が人気を博していることなどに触れ、料理人はこれまで以上に食材を知り、探求することが求められていると挨拶しました。 式典の後、会場を移し「四條公祭(しじょうこうさい)」が行われました。四條公祭とは、料理に携わる人々の間で定期的に執り行われる神事です。日本料理の祖・磐鹿六雁命(いわかむつかりのみこと)と、料理技法の四條流(しじょうりゅう)庖丁式を確立した四條中納言藤原政朝公(ふじわらのあさともこう)を祀る行事で、祭壇には包丁を供えて、命をいただく食の恵みに感謝し、料理技法の向上を祈願するものです。

イカに親しみ、おいしく食べる子ども勉強会「イカコン」レポート

イカに親しみ、おいしく食べる子ども勉強会「イカコン」レポート

子どもたちが函館市の魚「イカ」について学び、若手シェフがつくるおいしいイカ料理に触れる催し「イカコン」が、2018年8月7日、函館のコープさっぽろ いしかわ文化教室で開催され、小学生約20名が参加しました。コープさっぽろが主催し、「食の産業化」を推進する函館市が共催して行う初めての試みです。   子どもたちはまず、クイズ形式でイカの生態について学習。続いて、仲買人、スーパーのスタッフ、函館市農林水産部の職員などからイカの流通の仕組みのレクチャーがあり、イカ加工品を使った模擬セリを体験しました。次に、会場隣にあるスーパーでイカを買ってきて、さばくことに挑戦しました。講師からやり方を教わった後は、各々が包丁を握って緊張の面持ちでイカと向き合い、付き添いのお母さんたちがハラハラドキドキの様子で見守りました。   この後が「イカコン」のタイトルにもなっているイカ料理コンテストの時間。若手料理人たちが作る料理を、見栄えや工夫、おいしさなどの観点から子どもたちが審査する企画です。今回料理を作ったのは3名。いずれも函館市内や近郊で活躍中の20歳代の料理人です。まず、料理を考案したポイントなどを子どもたちにプレゼンしたあと、調理の一部を披露し、試食となります。どれもプロの技が生きるおいしい料理ばかり。子どもたちはお腹いっぱいになるほど頬張りながら、一所懸命採点をしていました。優勝したのはイタリアンの料理人、八木橋一洲さん(木古内町・どうなんde’s Ocuda Spirits)。料理は「アッシェ・パルマンティエ」という、じゃがいものピューレを熱々のチーズグラタン風に食べるフランスの家庭料理。肉の替わりにイカを使って、函館流に仕上げたとのこと。やはり子どもたちには洋食が人気のようでした。   参加した小学生、国枝実智子さん(柏野小2年)は「イカをさばくのが楽しかった。おいしいグラタンが食べられて大満足」と感想を語ってくれました。   イカの生態や、流通の仕組みに関するレクチャー。子どもたちは熱心にメモを取りながら聞き入っていました。   セリの模擬体験。「下げ競り」という函館特有のセリの方法を学び、威勢のいい声を張り上げて、商品を競り落とします。   子どもたちには、この日だけ特別に使える100円分のイカ紙幣をプレゼント。   売り場では、店員さんから活きのいいイカの見分け方を教えてもらい、手づかみでイカをゲット。   イカを選んだら、先ほどのイカ紙幣で買い物。   イカの部位をじっくり確認しながら、さばいていきます。   プロの料理人に見守られながら、イカをさばく子どもたちの姿は真剣そのもの。   稲垣竜輔さん(函館/炭火割烹・菊川)の調理実演。おいしい料理への期待が高まる見事な包丁さばき。   「料理がうまくなりたいな」、視線の奥からそんな気持ちが伝わってきます。   三田佑弥さん(函館/炭火割烹・菊川)の調理実演。和食料理人の細かい手仕事に目を丸くする子どもたち。   八木橋一洲さん(木古内/どうなん de’s Ocuda Spirits)の調理実演。バーナーで焼き目を付けていく作業に子どもたちは興味津々.   お楽しみの試食・審査タイム。おいしい料理に、子どもたちの笑みがこぼれます。   今回の優勝料理、八木橋一洲さんの「アッシェ・パルマンティエ」。イカを使った熱々ほくほくのグラタン風料理を、子どもたちは大絶賛。   稲垣竜輔さんの「イカスミのシチュー」。いかと昆布の出汁を使ったご飯といかの「年輪巻」が添えられた、イカ尽くしの和風シチューです。   三田佑弥さんの「イカをつかったお吸い物」。イカのミンチのパン包み焼きが入り、柔らかでジューシーな食感が楽しめる上品な和食料理です。   結果発表が終わり、料理人の皆さんは緊張がとけた様子。子どもたちからは、「料理人になりたい」との感想も寄せられました。

懐かしの「サイコロキャラメル」工場見学レポート

懐かしの「サイコロキャラメル」工場見学レポート

  懐かしの「サイコロキャラメル」や、全国で売られる有名なチョコレートが、函館で作られているのをご存じですか。プロ野球公式戦も行われるオーシャンスタジアム隣りに、近代的な菓子工場を持つ道南食品株式会社があります。同社の前身は、1919(大正8)年設立の函館菓子製造株式会社。2019年には創業100周年を迎えます。1936(昭和11)年には現在地に移転し、明治製菓函館工場に。1980(昭和55)年に明治製菓100%出資関連会社の道南食品株式会社となり、当時は明治のキャラメルやチョコレート、カールなどを製造。現在は、明治のチョコレート製品に加えて、自社ブランド商品として各種キャラメル類などを製造しています。なかでも長年にわたって手がけてきた「サイコロキャラメル」は、今も人気の商品です。   ■ 年間4000人も訪問!大好評の工場見学 道南食品では、工場の改築を契機に見学施設を増設し、2011(平成23)年から工場見学(事前申込制)を受け入れていて、年間4000人もの見学者が訪れるそうです。友達や家族などでも10名以上なら対応可能。祝日の工場稼働日には個人での見学もできます。また、毎年秋に開催される「はこだてカルチャーナイト」でも、施設見学のプログラムがあります(事前申込制)。開催日程は電話またはFacebookページで確認を。工場見学に関する案内はこちらから。   ■ 楽しい仕掛けがある見学コースをレポート 先日、当サイトの編集部が、中学生の工場見学に同行しました。フォトレポートをお届けします。   この日の見学者は、八雲町立落部中学校の2年生21名。函館市近郊での研修旅行の一環で工場を訪れました。   函館市の中心部にある近代的な工場。上空から見ると、工場の屋根にサイコロキャラメルがデザインされているそうです。   見学所要時間は約30分。最初に10分ほど、キャラメルやチョコレートの作り方について、ビデオを見ながら説明を聞きました。   3階まで上り、いよいよ見学デッキへ。   見学デッキは人気商品「サイコロキャラメル」をモチーフにした内装。壁面にはサイコロの目がデザインされています。   キャラメルの製造やチョコレートの梱包の様子などを、ガラス越しに見学することができます。製造ラインは衛生管理が徹底され、見学者が立ち入ることはできません。   見学デッキにはおもしろい仕掛けが。ボタンを押すと、ガラスの向こうの工場からサイコロキャラメルがあっという間に届けられます。その仕掛けは工場見学でのお楽しみに。   製造されている商品を多数展示。地域限定で、めったにお目にかかれない商品もありました。   「きのこの山」の地域限定商品は、函館で製造されています。   ロングセラー商品の明治ストロベリーチョコレートも、道南食品で製造されています。   長年親しまれた明治サイコロキャラメルは、2016(平成28)年に生産終了。同年、改めて自社ブランド商品「北海道サイコロキャラメル」として発売。懐かしのパッケージや味が人気を呼び、北海道土産としても人気商品になっています。   2018年は、北海道命名から150年の節目の年。これを記念した「北海道150年」事業の関連商品、北海道の市町村名を記した「北海道179市町村サイコロキャラメル」も絶賛販売中。

函館真昆布の魅力(2018年7月バスツアーレポート)

函館真昆布の魅力(2018年7月バスツアーレポート)

2018年7月3日、「おいしい函館」バスツアーが実施され、料理人や飲食店関係者ら18名が参加。函館真昆布の里、函館市南茅部地区の昆布加工施設など3ヵ所を巡りました。   ■ 4つのだし昆布の特徴を知る 最初に訪れたのは、株式会社かまだ商店の工場。南茅部地区に本社と工場を置く、昆布製造卸の総合メーカーです。ここでは営業部の田渕亜樹さんから、出汁を取るのに使われる4つの昆布(利尻昆布、真昆布、羅臼昆布、日高昆布)について説明を受けました。   田渕さんによると、これらの特徴は産地を東西と南北の2つの軸で区分けすると判りやすいそうで、北では香り高く、南では味わい深い。また、東のものは味が濃く、西のものは淡口で上品な味だそうです。また、昆布は古くから日本海廻りの航路で上方などに運ばれ、使われてきたもので、特定の産地と使われる地域との結びつきが現在でも強いといいます。北西の利尻島や稚内周辺で採れる「利尻昆布」は香り高く上品。京都を中心に人気が高く、野菜を使った京料理には欠かせないものです。北海道の南西部、函館市周辺を主産地とする「真昆布」は、上品かつ甘みのある味わいが特徴。肉厚な身はとろろ昆布やおぼろ昆布、塩こんぶなどにも適しており、大阪を中心にした関西で広く使われます。北東の知床半島周辺の「羅臼昆布」は、香りのよい濃い出汁が取れ、北陸地方などでよく使われます。南の「日高昆布」は濃い出汁が取れ、身が柔らかく火が通りやすいために昆布巻などにも向いており、だし昆布としては関東、東海、中部地方で多く使われるそうです。   昆布は、出汁の味わいだけでなく、種類によって肉質などにも違いがあり、料理に合う種類を選ぶのが大切とのことでした。説明のあとに、参加者全員で4つの出汁の飲み比べに挑戦しました。初めての人にとってその特徴の判別は難しく、参加者の皆さんも相当苦戦していました。和食の世界などでは、日々の仕事の経験の中でわずかな違いをきき分けて、出汁を生かしていることに改めて気づかされました。   かまだ商店では、職歴30年の松坂吉通さんが一枚刃の道具で真昆布を削いでゆく、おぼろ昆布づくりの実演も。酢を用いて柔らかくした昆布の表面を0.05ミリの薄さで削いでいくもので、今でも全て手作業行われます。   ■今の時期は早朝から大忙し、漁家の現場 午後は、臼尻漁港近くの養殖昆布漁家の作業場を訪問。今期の養殖昆布漁が6月22日から始まっており、この日は夜明け前から昆布の水揚げをして、ちょうど乾燥作業を行っているところでした。この時期、昆布漁はまさに家族総出で大忙し。高校生も早朝の作業に加わることから、南茅部高校は授業開始が一時間繰り下げとなるそうです。養殖昆布漁に続き、このあと7月15日からは天然昆布漁も始まり、こうした作業が連日続きます。   養殖昆布漁家の作業場にある機械乾燥させるための乾燥室。早朝に水揚げした昆布を、3メートル以上の長さのまま吊して乾燥させます。   乾燥が終わった昆布は束ねられ、90センチの長さに切り分けられ、一旦保管。このあと秋までに、一本ずつ丁寧に熨(の)して切り揃えられた後、出荷されます。   臼尻漁港を訪ねた際には、養殖昆布漁の船についての説明を聞きました。真昆布の生産過程では、雨は大敵。雨に当たらないように、沖から採ってきても水揚げせず、漁船に付けたまま海中に置いておくこともあるそうです。   ■生産量、出荷額とも日本一の「函館真昆布」 ツアーの最後は、南かやべ漁業協同組合直販加工センターへ。センター長の坂井英文さんから、南茅部地区の真昆布について詳しい説明を受けました。真昆布は道内産の4種類のだし昆布のなかではひときわ大きいもので、幅が広く肉厚、そして上品な出汁が取れる最高級品。とりわけこの地区で生産されるものは白口浜昆布(切り口が白い真昆布)と呼ばれて、品質は日本一とされ、かつて皇室にも献上されたことがあるほどです。   北海道の昆布生産は、浜の漁師が減ったことで年々減少し、現在は最盛期の半分ほど。しかも昨年と一昨年は、温暖化などの影響もあって過去最低。こうしたなか、南茅部地区では40年ほど前から、1年で促成栽培できる真昆布の養殖(天然ものは収穫まで2年を要する)に力を入れ、収量の安定に努め、昆布生産では生産量、出荷額とも日本一だそうです。   しかし、この真昆布は、利尻や羅臼などのように名前に地名がつかないことから、これまでなかなか産地をイメージしてもらえませんでした。2017年秋からは「函館真昆布」の統一名称を使い、ブランド力を高める取り組みを始めています。   南かやべ漁業協同組合直販加工センターでは、人気商品の真昆布の出汁を使った醤油やポン酢で味わう、いろいろな昆布料理の試食も。   ツアー参加者の一人でフレンチ料理人の北野貴士さんは、「フランス料理では、昆布を前面に押し出すのは難しいと思うが、ベースの味付けに使ったり、パウダーにして用いたりすることで、生かしていけそうだ。今回は食材の特徴を詳しく知ることができ、昆布の魅力を感じられるツアーだった」とコメント。漁師の人たちの労力がかかる作業にも接し、函館が日本一の昆布の生産地であることを改めて実感できたバスツアーでした。

こだわりの高級生豆腐「Jimo豆腐Soia」販売開始

こだわりの高級生豆腐「Jimo豆腐Soia」販売開始

函館市に隣接する七飯町に本社があり、「やっこさん豆腐」のブランドで知られる日乃出食品は、道南産の原材料を用いて、こだわりの製法で作る高級生豆腐を商品化。2018年6月12日、函館市・北斗市・七飯町などでの移動販売がスタートしました。「Jimo豆腐Soia」(ジモトーフソイア)ブランドで販売されるこだわり豆腐は、手作業で少量生産。現在、自社で展開する移動販売車1台で販売中。Soiaとはイタリア語で「大豆」のこと。地域で作られる大豆を使い、地域の中で製造し、消費される「地元」の豆腐を意識してもらえるよう命名したそうです。   原料の大豆は、近郊・北斗市のリッキーファームで栽培された北海道の特産品種「トヨムスメ」。工場のほど近く横津山系の天然伏流水を用いて一般商品の2倍量の大豆で使って丁寧に豆乳を作り、これを道南の日本海で汲み出す熊石海洋深層水から作られた塩化マグネシウム(にがり)で凝固させます。香り豊かで大豆の濃厚な風味が特徴です。「きぬ」「もめん」「ざる」「よせ」のほか、モッツァレラチーズのような食感を持つ「しお豆腐」、「にがり」を加えることで自家製豆腐を作ることもできる「豆乳」、ハチミツと生クリームを加えてスイーツ仕立てにした「Tofu de Soia HONEY(はちみつ)」の7種類の商品を販売中。価格は、380円~650円(税別)と、同社の一般商品の2~3倍程度。高級感のあるパッケージで、お土産などにも最適です。   火曜から土曜までは函館市ほかを移動販売車で巡回、日曜には各種イベントへの出店も予定。今後、七飯町内の「道の駅 なないろ・ななえ」などでの販売も予定しています。電話注文があれば、販売車での配達も可能です。   問い合わせ TEL080-6735-1487 MAIL:info@jimotofu-soia.com(日乃出食品「Jimo豆腐Soia」事業部・川口拳弥さん) 若草色の保冷室を載せた軽トラックの移動販売車。 少量生産のため、売り切れの場合もあり。巡回スケジュールは、フェイスブックページで告知。

バニラ・エア機内食に函商高生開発のスープカレー

バニラ・エア機内食に函商高生開発のスープカレー

函館商業高校は、函館-成田間を運航する格安航空会社(LCC)のバニラ・エアと一緒に、機内食の共同開発に取り組んでいます。2018年5月17日、同校にて生徒が考案したメニューの発表会が行われ、6グループの提案の中から「ごろっと!ほっこり!スープカレー」が選ばれました。   函館商業高校流通ビジネス科は、2008年から、民間企業と連携して生徒の発想を生かした商品開発に取り組んでいます。昨年夏、横浜で行われた「商業高校フードグランプリ2017」に函館の老舗レストラン・五島軒と開発した「バターチキンカレー」を出品し、大賞に次ぐ「服部幸應審査員特別賞」を受賞。大会で同校の活躍を知ったバニラ・エアから申し入れる形で、今回の共同開発プロジェクトがスタートしました。   生徒たちに与えられた期間は1か月。授業をこの期間に集中する形をとり、週6時間を本プロジェクトに充て、バニラ・エア社員とのスカイプ会議を重ねながら、メニュー案やプレゼン資料を作成していきました。 グランプリを獲得したチームのリーダー、高橋亜里紗さんは当初、「分からないことが多すぎて、自分の知識がこんなにも少なかったんだということを思い知った」そうです。しかし、情報収集や話し合いを重ねる中でテーマを「北海道を広め、より知ってもらいたい」と決め、メニューには北海道のご当地グルメとして人気の「スープカレー」を選択。お客様がヤケドしないような容器や、スープとご飯をどのように分けるのかといった課題にも取り組み、プレゼン資料にまとめました。   今後、グランプリチームは、千葉県のバニラ・エア本社や機内食会社の工場を訪問し、さらなる開発に取り組む予定。「専門家とお話しできるのが楽しみ」「本社で再度、プレゼンをするので、それまでに企画内容を厚くしたい」「プレゼンも改善できることがいっぱいある」生徒たちは熱く、抱負を語ってくれました。   このスープカレーは、2018年12月から3か月間、バニラ・エアの国内・国際便全便で提供されます。 グランプリチームによるプレゼン資料の一部。漫画研究部員でもあるメンバーが、おいしく見えるように工夫して描きました。食材は、カボチャ、アスパラ、ブロッコリー、ナス、ニンジン、レンコン、うずらの卵、チキンを使用。スープはみんなが食べられるマイルドな味を目指します。価格は1,000円以内を想定。 函館商業高校流通ビジネス科の生徒たちと、バニラ・エアの社員。準グランプリには「イカナポリタンパイ」、審査員特別賞には「かぼちゃと牛乳の2層プリン」が選ばれました。 市内企業について情報収集する生徒たち。函館商業高校では、今後も、企業との共同開発プロジェクトに取り組んでいきます。

畑からの豆腐作りが始動。地元豆腐店の活性化プロジェクト

畑からの豆腐作りが始動。地元豆腐店の活性化プロジェクト

函館の豆腐店経営者らが協力して、大豆の栽培から収穫、製造販売までを自らの手で行う活性化プロジェクト「To Future(トウフューチャー)」が始動。2018年5月22日、函館市豊原町の畑で大豆の種まきが行われました。   函館豆腐油揚組合(工藤英洋理事長、7社加盟)では、取り組みの発信を通して、もっと豆腐を知ってもらい、この地域で作られる豆腐への愛着を高めてもらおうと、こだわりの大豆を使った豆腐作りのプロジェクトを発想。豆腐店の店主自らが高級大豆「鶴の子大豆」を有機栽培で育て、2019年2月を目途に、各店オリジナルの技法で、プレミアム感の高い豆腐を作り、「はこだて福豆とうふ」として販売することを予定しています。   工藤理事長は、「消費形態の変化や大手スーパーの進出などにより、地域の豆腐店は衰退の一途。本来、豆腐作りは各々が門外不出のもので、協力や連携は難しかったが、今回各店が一緒に取り組めるのは意義深いこと。ぜひこの地域で作られる豆腐に関心をもってもらえれば」と意気込みを語ってくれました。   畑での作業や豆腐作りなどのプロジェクトの様子は、近日公開予定のFacebookページやケーブルテレビNCV函館センターのニュースなどを通して、積極的に発信したいとのことでした。   問い合わせ先:日乃出食品株式会社(担当:工藤英洋)0138-64-0853 有機農産物JASの認定を受ける農場「ローラファーム」(長谷川正昭代表・函館市豊原町)で10アールの畑を借りて、大豆を栽培。秋には150キロの収量を見込んでいます。 この日は、市内豆腐店の店主ら7名が参加し、大豆の種蒔きと鳥害防止のための畑への布掛け作業でひと汗。 「鶴の子大豆」は道南で栽培されている最高級品種とされる大豆。大粒で、甘みや香りが強いのが特徴。 プロジェクトの推進役、工藤英洋さん。今後も、草取りや収穫、天日干し、脱穀などを皆で畑に通って行うとのこと。

第7回世界料理学会 in HAKODATE開催、31人の料理人らが登壇

第7回世界料理学会 in HAKODATE開催、31人の料理人らが登壇

2018年4月23日・24日、函館市芸術ホールにおいて、第7回世界料理学会 in HAKODATEが開催されました。この催しは、函館の有志が実行委員会を結成して9年前から実施しているもので、一年半ごとに定期開催し、これで7回目となります。今回は「山菜」をテーマに、海外からのゲストを含めて料理人ら31人が登壇。全国から集まった約700人の聴衆を前に、15の個人発表と6つのトークセッションが展開されました。発表は、地域の風土や調理の様子などを紹介する美しい映像の上映や、料理人の哲学を熱く語るもの、調理方法・理論を詳しく説明するものなど、多彩な内容でした。   4月23日夜には、レストラン五島軒で交流パーティーを開催。参加者たちは、ゲストシェフのレシピによる料理などを味わい、スターシェフたちとの交流を楽しんでいました。また24日には、隣接する五稜郭タワーで「北海道・青森県食材見本市」(主催:北海道渡島総合振興局・檜山振興局ほか)も開催。生鮮食材の生産者など30の事業者が出展し、登壇の料理人や料理学会を訪れた食のプロたちに、自慢の品をアピールしていました。   第7回世界料理学会のFacebookページには、各発表のレポートが掲載されています。 https://www.facebook.com/wcam7hakodate/   スペインからのゲスト、ルシア・フレイタス・ロドリゲスさん(レスタウランテ・ア・タフォナ・デ・ルシア・ロドリゲス)。「流行ではなく、地元に根付いたものを重視し、素材に対して敬意を払う」との姿勢を述べたうえで、魚料理を中心にした3皿を紹介。また、スペイン・ガリシアの海のハーブを紹介しました。   三國清三さん(オテル・ドゥ・ミクニ)。世界のグランシェフたちとともに働いた若かりし頃を振り返りつつ、今の料理への変遷を紹介。「世界のミクニ」と呼ばれる所以に、あらためて触れる機会になりました。   青森県の世界自然遺産・白神山地で活動するマタギ(東北地方で独特の伝承を持つ山の猟師)、工藤茂樹さん(白神マタギ舎)。ダムに沈んだ故郷のことや、山とともに生きる伝統の暮らしや山菜の利用などについて発表。   谷 昇さん(ル・マンジュ・トゥー)と高田裕介さん(ラ・シーム)のスペシャルトークセッション。料理への向き合い方や、料理人の生き方などにも斬り込む内容。二つの世代のスターシェフが率直に語り合う姿に、感銘を受けたとの声が聞こえました。   地元を代表しての個人発表は、大桐幸介さん(チッチョ・パスティッチョ)。自生する果実クマイチゴやフキノトウを用いたスイーツなどについて紹介。   テレビのバラエティ番組でも活躍中の奥田政行さん(アル・ケッチァーノ)。店をオープンした頃、元手のかからない山菜を摘んでメニューづくりをしてきたという経験を語り、食べられる野草の見分け方などを紹介。また調理法を体系的に整理するなど、ユニークかつパワフルな発表に聴衆は釘付け。   シモーネ・カンタフィオさん(ミシェル・ブラス トーヤ ジャポン)は、山野草の料理で美食の世界を席巻したフランスの料理人ミシェル・ブラスさんの愛弟子。現在、北海道洞爺湖町にあるブラスさんのレストランの料理長を務めています。ブラスさんとのエピソードなどを交えて、山野草を用いた3皿を紹介。   京都の和食料亭主人・村田吉弘さん(菊乃井)は、壇上で山菜を盛り付ける魅力的なデモンストレーション。調理の様子は、生中継と美しいプレゼン映像が交互に映し出されました。   東京から参加の山中一男さん(中国料理 古月)は、中国料理における薬膳のなかでの山菜の位置づけや役割について詳しく解説。専門的な話題でありながら、どのジャンルの料理人にも分かりやすく、中国料理の魅力に引き込まれる内容でした。   ホールでの個人発表と並行して、別会場ではトークセッションのプログラムも進行。24日午後には、函館から川村淳也さん(マルヒラ川村水産)や下山明仁さん(漁師・第21明宝丸)も登壇して、「目利きの極意」をテーマにしたセッションが行われました。   初日の夜、五島軒本店で開催された交流パーティー。スターシェフと間近で触れ合える機会とあって、大賑わい。   交流パーティーでは、五島軒の料理のほか、多彩な料理人のレシピによるピンチョーをビュッフェスタイルで提供。   北海道・青森県食材見本市は、シェフや来場者が生産者と直接触れ合い、意見交換ができる機会。ここでの出会いから新しい料理の発想が生まれることも。写真はジェットファームのアスパラを手に取る秋山能久さん(六雁)。   2日間にわたるプログラムを終えての記念撮影。次回2019年秋の開催に向けて、準備が始まります。   (写真提供 : 世界料理学会 in HAKODATE実行委員会)