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カジュアルな和菓子の吉田食品、工場見学と上生菓子の手作り体験

レポート
2019/08/21
カジュアルな和菓子の吉田食品、工場見学と上生菓子の手作り体験
スーパーのパンコーナーの傍らで売られている個別包装の和洋菓子。華やかなショーケースに並ぶ生ケーキに比べればどこか地味ですが、いつでも手頃に甘いもので満足できる、名脇役ともいえましょう。「ヨシダのお菓子」のブランドで、まんじゅうやパイなど日配品の和菓子を製造し、函館周辺や道内各地に卸売している吉田食品は、1942(昭和17)年に吉田製菓として函館市で創業。以来、事業を拡大させ、2015(平成27)年、函館市西桔梗町に本社と工場を新設しました。翌年からは、和洋菓子のイートインが楽しめる開放的な直営店「ひとひら」が敷地内にオープン。製法や素材にこだわった作りたての菓子の販売を行っています。また、予約制での工場見学を行っているほか、菓子づくりの体験会も受付しています。


吉田食品の本社に入ると、すぐに工場の製造ラインが目に飛び込んできます。廊下に沿った大きな窓ガラス越しに、機械が動く様子や手作業で菓子を作る工程を見学することができます。


工場の案内役は業務推進部長の冨永義人さん。作業内容は日々刻々と変わり、今、どんな機械がどの工程を行っているのか、案内板を使いながら丁寧に説明してくれます。


この日の見学工程は、人気商品「はこだて自慢くりりんカボチャパイ」の製造。函館近郊の森町で有機栽培され、糖度が抜群に高く極上の甘味を持つかぼちゃ「くりりん」を用いて作ったパイです。かぼちゃあんを機械を使いパイ生地で包み、整形されます。その数は1分あたり40個!


特にこだわっているのは、あん作り。小規模の菓子店やメーカーなどでは、製あん所から生あんを仕入れて菓子に加工することが多いのですが、ここでは丁寧に手間と時間をかけて、小豆や手亡(てぼう)などから生あんを作っています。あんの配合は商品によって細かに異なり、50種以上にもなるそうです。


どらやきや中花まんじゅうなどでは、やわらかな口当たりを残すため、機械に頼らずすべて手作り。見学の最中には、出来たてのどらやきを試食できます。直営店では、店頭で皮を焼いて、その日のうちに食べる生菓子のどらやきも販売しています。


隣接する直営店「ひとひら」に移動し、今度は上生菓子の手作り体験です。店内には、「ひとひら」ブランドの高級感ある和洋菓子が並びます。飾り菓子や、縁起の良い魚などを型どった落雁の木型も展示。イートインやキッズスペースもあり、子ども連れでも楽しめる空間です。


上生菓子の手作り体験の指導は、代表取締役の吉田貴之さん。吉田食品の3代目です。大学卒業後、東京の菓子店で修業した後、帰郷して一級和菓子製造技能士の資格を取得。菓子材料を用いて花鳥風月などを表現する、飾り菓子の技能コンクールでは、輝かしい成績を何度も残しています。また、北海道で2人しかいない、厚生労働省認定・和菓子「ものづくりマイスター」のひとりです。現在は、高校の製菓課程や調理製菓専門学校でも教鞭を執っています。


今回体験した上生菓子は、白あんに求肥(ぎゅうひ)を練り込んだ、いわゆる「練り切り」。最初はわかりやすいように、着色しない練り切りを使い、あんを包む練習から。


その後、色づけした練り切りをつかって本番開始。植物などを用いて鮮やかに色づけされた練り切りは、指先で薄く延ばしていくうちに、繊細で和の雰囲気を持つ色合いに変化していきます。


あんを包んだら、ヘラや針など独特の道具を使って形付けしていきます。


指先で花びらを形づくり、見映えよく仕上げます。中心に少しだけ練り込んでおいた白の色合いが、ほどよいぼかし模様に。水色の鮮やかなめしべを飾って、「桔梗」が完成しました。


「桔梗」(下)に続いて、「楓」(中)と「乱菊」(上)を作りました。練習から3つの作品が出来るまで、約1時間半の体験。左の列が体験生の作品、右の列が吉田さんの模範作品です。

工場見学は事前申込制で随時受付(土日休・無料)。上生菓子の手作り体験は、日程・場所・材料代などについて要相談。問合せは吉田食品0138-83-1784まで。

株式会社吉田食品
住所:函館市西桔梗町851番地8
電話番号:0138-83-1784
直営店舗「ひとひら」函館市西桔梗町851番地8
電話番号:0138-83-6668
営業時間:9:00~19:00 年中無休