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市街地にチャルメラ響かせ、バスラーメン営業中

レポート
2020/07/02
市街地にチャルメラ響かせ、バスラーメン営業中

「函館元祖バスラーメン」は小型バスを改装したラーメン店。湯の川温泉の一角で夜間営業したり、近年は大型クルーズ船が来港した際にふ頭で営業するなど、本格的な函館ラーメンの味わいとユニークな営業形態が相まって、函館名物のひとつにも挙げられる人気店です。店主の丸山憲雄さんは、ラーメン作り40年のベテラン。長年、函館を訪れる観光客に愛されてきましたが、新型コロナウイルスの感染拡大とともに、客足がぱったりと途絶えてしまいました。そんな中、「ぜひ家の前に来て作って欲しい」という市民の要望があり、バスを走らせながら売り歩くことを決意。開業当初には小さなワゴン車で市内を巡回していたこともありましたが、3月から約20年ぶりに巡回での営業を再開させました。

巡回は、午後5時~10時の間で、曜日ごとに区域が決まっています。現在は市内の石川地区や西旭岡地区などを巡り、週末の日中には、戸井地区にも出向きます。住宅街に入ると、チャルメラの音をスピーカーから響かせ、バスをゆっくりと進めます。声が掛かれば停車し、その場で調理して玄関先まで配達。チャルメラを聞きつけ、どんぶり片手に家の前でバスを待つ常連さんもあるそうです。なお、巡回営業ではテイクアウトのみ(どんぶり持ち込み、またはテイクアウト用容器)の対応になります。

出発前、自宅の駐車場奥に設えたキッチンには、入念に仕込みをする丸山さんの姿が。スープは、豚丸骨や鶏のガラやモミジ、香味野菜などを使い、隠し味には函館真昆布も入れ、ゆっくりと丁寧に炊いていきます。このスープの特徴が最も引き出されるのが、函館の王道「塩ラーメン」。シンプルな味わいに、年配の人ならば昔懐かしいラーメンを思い出し、どこか郷愁を感じるかもしれません。

「コロナが早く収束し、観光客が戻ることをひたすら願っている」という丸山さん。
湯の川温泉に観光客が戻ったら、車内飲食を主体とした温泉街での定点営業を再開します。
【湯の川温泉営業場所】国道278号松倉橋たもと(湯の川観光ホテル隣)

問合せ:函館元祖バスラーメン
Tel:090-2873-7173

注文を受けるとバスを止め、丸山さんは運転席から車内の後部に移動し、さっそく仕事にかかります。長年使い込まれたキッチンで手早く調理。


この日は妻の寿子さんが同乗。長年の常連さんの自宅前で、車内から手渡します。


澄んだスープの塩ラーメンはこの店の一番人気。やわらかでひときわ大きなチャーシューが載り、麺はスープの旨味をしっかりとまといます。


週末の日中には、昆布漁が盛んな函館市東部の戸井地区も巡回。チャルメラを鳴らして、ゆっくりとバスを進めます。