函館では近年、街の歴史や風土、食材を生かした新たなグルメや酒が次々に誕生しています。
参加店舗がそれぞれ独自のアレンジを加えて提供し、「函館ならではの味を食べ比べできる」と好評を博している「新函館グルメ」と、この地で醸された函館生まれの酒をご紹介します。
あわせて、函館の研究機関や企業による食の共同開発で生まれた商品について解説します。
1. 新函館グルメと函館の酒
①はこだて焼きピロシキ
函館は、日本で最初のロシア領事館や正教会が竣工するなどロシアとの親交が深く、日本のロシア料理の歴史は函館から始まったという説もあります。ロシアの伝統的家庭料理ピロシキを函館ならではの味にアレンジして発信しようと、2017年に考案されたのが「はこだて焼きピロシキ」です。
ピロシキの本場では、実は「揚げ」ではなく「焼き」が一般的。そこで、あえて本場スタイルの「焼き」をルールとして、ロシアと函館との歴史を感じさせる味にしました。
【「はこだて焼きピロシキ」のルール】
◇本場にのっとって「焼き」で調理
◇パン生地と具材は1:1を目安にした「具だくさん」
◇道南産食材を使用
【提供店舗】※2021年2月現在
○ まるたま小屋
○ キングベーク(本店・キングベークナチュラル)
○
ベーカリー ル・レーブ
○
ちいさなしあわせパン ※期間限定
○
手作りパンの家 こすもす ※期間限定
○
エスポワール&どんぐり五稜郭駅前店
○
ベーカーズ・ベーカリー



「ご相談には随時対応します。各店がテーマに沿って考案したピロシキを期間限定で販売する「ピロシキフェア」や、参加店が一堂に集う「ピロシキ博」を開催しています」(ソユーズはこだて焼きピロシキ 北見さん)
北見さんが営むカフェまるたま小屋では、「はこだて焼きピロシキ」ルールにのっとったピロシキに加えて、スパイシートマトラム、チキンきのこ、鮭クリームチーズ、塩バターりんごなど、バラエティに富んだピロシキが常時7~8種類、店頭に並んでいます。ピロシキについてもっと知りたい方はぜひ一度、同店へ。
ソユーズはこだて焼きピロシキ(まるたま小屋内)TEL 0138-76-3749
②函館ブリたれカツ
近年漁獲量が急増し、全国有数の天然ブリの産地となっている函館。ところが北海道のブリ消費量は全国平均の2分の1で、函館でもこれまであまり消費されてきませんでした。「地元で獲れているブリのおいしさを伝えたい」「家庭や飲食店で、ブリを味わうムーブメントを起こしたい」。そんな思いから2020年に誕生した新ご当地メニューが「函館ブリたれカツ」です。
【函館ブリたれカツのルール】
◇道南産のブリを使用する
◇ブリを牛乳かホエイ(乳清)に15分ほど漬け込んだ後、昆布エキスを塗り込む。牛乳と昆布はなるべく道南産を使う
◇たれは各店の工夫を凝らした「オリジナルたれ」を開発する
◇衣はパン粉や米粉など「たれ」にあう揚げ方とする
◇ブリに敬意を表して調理する
【提供店舗】※2022年7月現在
〇中華風居酒屋 いか家(大門横丁内)
〇函館海鮮居酒屋 魚まさ 五稜郭総本店
〇のんちゃん食堂 希々屋
〇朝市炉端 五聚富(ごしっぷ)
〇炭火割烹 菊川
〇和×燻製 輝なり



同実行委員会は、「函館ブリたれカツ」を提供したい店舗からの問い合わせも受け付けています。下記にご連絡ください。
はこだて海の教室実行委員会 TEL 090-9439-3339(平日10:00~17:00)
③五稜
五稜は、2021年に誕生した函館市内唯一の酒蔵「五稜乃蔵(ごりょうのくら)」が醸造する日本酒です。五稜乃蔵がある函館市亀尾町産でとれた酒米をはじめ、信頼の置ける道内の生産者が作った酒米「彗星」「吟風」「きたしずく」と地元の清らかな水を使って酒を醸します。
【販売店】
〇五稜乃蔵Shop(酒蔵併設の直売店)
〇函館市内酒販店など


④函館イカナポリタン
「イカとナポリタンで函館を盛り上げよう!」と、地元の飲食店有志が2014年に結成した「函館 イカナポリタンの会」。イタリアンレストラン、カフェ、バーなど、バラエティ豊かな飲食店の料理人がオリジナルの「イカナポリタン」を提供します。
【「函館イカナポリタン」のルール】
◇イカと、地元野菜を使ったナポリタンであること
漁の好不調や季節による野菜の変化もあるので厳密なルールにはなっていませんが、できるだけ函館近郊で獲れたイカを使い、1品でも地場産の野菜を使うようにします。
【提供店舗】※2022年7月現在
○ Caldo Calcio(カルド カルチョ)
○ CAFÉ&BAR LYCORIS(リコリス)
○ DINING BAR UTAYA(ウタヤ)
○夏井珈琲ブリュッケ
○月夜のうさぎ
○Cafe en
○haru-na-tei(ハルナテイ)
○ごくらく亭

(写真提供:函館市公式観光情報サイト「はこぶら」)

函館イカナポリタンの会(Caldo Calcio内)TEL 0138-85-8213
2. 食の新商品開発
① はこだて雇用創造推進協議会が生んだ商品
2015年から2018年にかけて函館市や経済団体等で組織された「はこだて雇用創造推進協議会」は、ご当地グルメに加え、市内企業と共同で様々な商品開発にも取り組みました(活動は2018年3月で終了。開発商品の詳細や製造を希望する企業からの問い合わせは函館市経済部食産業振興課 TEL 0138-21-3314が受付)。
開発商品の中から、2018年6月時点で販売中のものを紹介します。

寒暖の差が大きい道南で生産されるさつまいも「紅あずま」と、小豆の中でも大粒で良質な「大納言」を原料に使用。通常の羊羹作りに使う白双糖(しろざらとう)ではなく、中双糖(ザラメ)を使うことで、紅あずまの風味を引き出しています。2268円(プレーン2本と大納言入り1本の計3本セット)
【販売店】函館空港ターミナルビル2階「函と館」

さきいかをチョコレートでコーティングした、不思議に後引く甘辛さが特徴。「ザグザグフレークの旅立ち」「ゴマゴマの野望」「キャラメルナッツの帰還」「ホワイトオレンジの希望」の、ユニークな4種のフレーバー。各700円
【販売店】キングベーク(本店、キングベークナチュラル JR函館駅店)、ほっとマルシェおがーる(JR新函館北斗駅)、はこだて海鮮市場本店

函館牛乳を使用したショコラサブレを、希少性が高いクリオロ種のカカオ使用のクーベルチュールチョコレートで包み、その上に金粉をちりばめて、夜景の輝きを表現しています。原料の一つであるオホーツク産の塩が味のアクセント。1枚180円、4枚入970円、8枚入1690円
【販売店】シュウェットカカオ
② 真昆布関連商品
はこだて雇用創造推進協議会は、公益財団法人函館地域産業振興財団に委託し、海藻等の水産資源を活用した商品開発にも取り組みました。開発品のうち、商品化された真昆布関連商品を紹介します。
現在、活動は函館真昆布風味活用研究会が引き継ぎ、企業への技術提供も行っています。
函館真昆布風味活用研究会(北海道立工業技術センター内)TEL 0138-34-2600


